ベンチャー向け融資査定担当者はここを見る! 融資を受けられない理由20

   ベンチャー融資担当者は、新規創業者の事業プランに対して理解と共感を持って対応すべきである。しかし、彼らはまた一方で、しっかりその事業性,、起業家としての資質能力を見極めているのだ。経営者は心して、次の20ポイントで自己診断を試みて欲しい。

チェック1
競争相手や先、他の金融機関のことをけなしたり敬意を払わない言動をする。
商いは、外注先、販売お得意先、さらに融資する金融機関の支援によって成り立っている。そんな協力者を人前でけなしたり悪く云う人物は、独善的で周囲の忠告アドバイスに聞く素直さを持っていない。信用がおけない証拠の第一だ。信用のない経営者の事業が成功するとは思えない。当然金融機関が金を貸すことはない。
チェック2
成功者の英雄伝ばかり話し、自分の言葉で経営信念や事業への執念を語れない。
他人の成功を受け売りで語っているだけでは、聞いていても経営者自身の空っぽさが残るだけだ。他人の成功をある程度の教科書とすることには意味があるが成功伝、そのものを熱っぽく語るだけでは何の意味もない。誰が何と云おうと背水の陣で俺がやらねば、という執念が感じられなくては銀行が金を貸すだけの信用がもてないのは言うまでもない。
チェック3
思いつきだけで部下に指示命令を与えその後のトレースがちゃらんぽらんである。
会社が会社として機能していない。こんなことが続いては、スタッフを混乱させるだけ、リーダーの資質も疑われてしまう。限られた人材と資金で効率よく事業を進めることができないようでは、いつまで経っても事業はテイクオフできない。立ち上げ資金はすぐに底をついてしまう。貸した金も死に金になってしまう。
チェック4
資金繰りの重要性を理解していないため資金繰りの数字が頭に 入っていない。
経営者は、自分自身で毎月の資金繰りを完全につかんでいなければいけない。企業にとって、資金ショートをするいうことは死亡宣告に等しい。たとえ半年後に売上代金の入金が見込めても、来月の支払手形が決済できなければ、その会社は終わりだ。資金繰りを軽視して他人任せにしている経営者には金を貸す金融機関などいない.
チェック5
自分の会社の損益分岐がどこにあるかまた利益の見極めの数字 が頭に入っていない
いくら勉強しているからといっても金融マンは、すべての業種に精通しているわけではない。いくら素晴らしい技術でも、それがどのようなビジネスの仕組みで成り立つのか、また儲けの仕掛けはどこか、そんな損益分岐、利益の見極めを数字で説明してもらえなければ、積極的に融資案件として取り上げることは難しいだろう。
チェック6
社員の処遇や業績評価を自分のさじ加減で行い人事管理を組織的に行っていない
経営者に、業績評価や人事考課を組織的に公平に行う考えがあるということは、組織として役割分担で仕事をこなしていることであり、人材が伸びている証拠だ。逆の場合は、この融資先は人材の能力を大きくすることはできないということになり、会社そのものの将来はあまり期待できない。金融機関も積極的な融資をためらうことになる.
チェック7
絶対に倒産させないという確固たる信念を持たずに平気で追加融資を求める
経営者に倒産させないという信念があるかないかは、事業が行き詰まった場合、どこで手打ちをするかの客観的な判断基準(材料)を持っているかどうかを調べれば分かる。たとえば「このままの売上があと3ヶ月続いても、その時点で何も好転しなければもうダメだ。」といった冷静な数字の組み立てを持っていないのでは怖くて金は貸せない。
チェック8
社員の生活を守ることを軽んじており業績不振になれば安易に首を切る
創業期からついてきた社員は、ビジネスの成功、トップの考え方を信じるからこそ歯 を食いしばって頑張ってきたのである。それを、業績不振を理由に安易なリストラに走り簡単に解雇する。これでは、残った社員も経営者に疑心暗鬼でやる気も失うだろう。これは、組織崩壊の第一歩。融資先として金融機関が問題視するのも問題だ。
チェック9
過去の成功にあぐらをかき周囲の意見を黙殺する。市場のトレンドはもちろんライバルの動きに無頓着
業界紙も読まない、得意先から情報収集も行わない。これではスモールサイズマーケットで生き残りはできない。いつまでも過去の栄光に縛られていては、将来に対するビジョンを持つこともできず、そのうち同業他社に先行されてしまいかねない。2番手企業には未来はない。未来がない企業に融資するお人好しはいない.
チェック10
試算表の見方がわからないうえ顧問税理士や会計士ともコンタクトを取っていない
試算表を翌月中までには金融機関に提出しなければ、その企業の信用度はがた落ちだ。金融機関は、特に担保がなくて融資している先に対しては、業績の動向が一番気がかりである。経営者が試算表の数字をしっかり説明できないようでは、誰が本当の経営者なのか、経営の手綱をしっかり握っているのかな、と不安になり、融資どころの話ではない。
チェック11
売上見込み利益見込みが提出できない。提出しても実績が大幅に修正される
売上、利益の目標・実績が金融機関に容易に提出できないということは、成り行き商売で営業力がまったくないということであり、収益性が低いことを裏付けている。営業マンの能力に問題があり、さらに経営者に営業管理ができない企業と思われて当然だ。こんな会社では儲けることができず、将来性がないと判断されても仕方がないだろう.
チェック12
メインバンクがどこか明確でなかったり自行をメイン化したいのかどうもわからない。
メインバンクとは、経営者が腹割って自社の経営実態を説明している先。つまり当該企業を一番知っていて融資支援を表明している金融機関だ。これをもっていることも大きな信用につながる。また、自行をメインバンクにしたいとうのなら、当然会社の状況をディスクローズする必要がある。これを隠す経営者を支援する金融機関はない.
チェック13
借入資金の使い道や返済原資について数字で具体的かつ明確 に答えることができない
なんで金が必要になったのか? その金を使って何をしたいのか、また使うことによって会社の収益構造はどう変わってくるのか? さらに返す見込みはどうなのか? 金を借りる以上は、その根拠が必要であり、かつ明確であることは言うまでもない。借り手としてこんなイロハがキチンと数字で説明できなくては、借り手失格である.
チェック14
現状の売上規模や経営基盤、技術力から見て過大な設備投資を 行っている
投入する新規設備が最低限どれくらいの稼働すれば採算がとれるのか?稼働率確保のための販路・仕入れに障害はないか? 技術的に操作できる人材はいるのか? 本当に必要なのか? 会社を大きくしたいという気持ちもわかるが、このような検討を社内でやらないまま、単なる思いつきで設備資金を借りに来て相手に、一体誰が金を貸してくれるだろうか?
チェック15
技術に大手参入を阻止できるような独創性や企画力や機動力の発揮が乏しい
新製品や画期的なアイディアは、常に、コアとなる人材が火事場のバカ力が出せて初めて周囲に商品として認められるものだ。たまたま今取り扱っている商品が業 界のフォローの風に乗っているだけで、今後の展望を捉えた戦略を構築していなければひとたまりもない。頭でっかちの爆発力のない創業起業家には融資する魅力は何もない.
チェック16
営業基盤が脆弱なのに今後の基盤作りに確固たる戦略や計画を 立てていない。
ベンチャー企業やアーリーステージ企業では、社長がトップセールスして初めて受注 が取れるものだ。にもかかわらず、社長の営業人脈が弱かったり、あっても周囲の人間や営業がフォローしなければ、いつまで経っても仕事はこない。たまたま今取引をしている既存取引先に対し、細々と営業を行うだけで販路開拓に策を練らない企業に残るのは、不安だけだ。
チェック17
事業計画がなかったり絵空事で貸し手が納得できる内容ではない
ワープロかパソコン、それに起業のノウハウ本があれば、誰でも見栄えの良い事業計画書はできる。しかし、中身がなければ、ただの紙切れにすぎない。事業計画とはサクセスプランを実行するための具体的なシナリオである。これがない状態では金を貸してくれということは、木の葉のお金で買い物をするうようなものだろう.
チェック18
毎月の営業目標や利益目標がないだけでなく営業会議も形だけで実績を数値化していない
営業マンがお神輿に乗っかている会社とはこんなもの。毎月の責任売上、責任利益を「俺がやらねば誰がやる」の意気込みで社長以下、社員全員が動かなければ、借りた金は員の食いぶちに消えるだけだ。自分の給料は自分で稼いで、プラスアルファの利益でようやく金が返せるのを社員が認識しなければ、返済見込みは薄いと理解されて当然だ.
チェック19
社員の定着率が悪く人がよく変わったり辞める社員の多くが「できる」社員である
よく社員が辞める。特に仕事の中核を担うコア社員が辞める会社は問題大である。給料が安くても夢があれば、社員は辞めないものだ。社員が辞めるということは、「こんな会社に残る価値がない」「残っても夢が持てない会社」だと判断したからだ。夢が持てない会社には未来はない。こんな会社への融資は、金をどぶに捨てるようなものだ.
チェック20
社内の雰囲気がゆるんでいたり業務中の社員の規律がなんとなく乱れている
担保がない会社でも、社内に使命感が溢れていて、社員全員が「稼げぐぞ」という意識を持つる燃える集団なら金融機関も安心して金も貸せる。しかし、職場の規律が守られない会社には、社員個々に緊張感や責任感が生まれるはずもなく、当然、チームワークや一体感もない。もはやこんなガタガタ組織では企業としての体をなしていないのも同然だ。